「どうされましたか?」

山田さんに声をかけられた。

慌てて頭を下げる。

「何か、あったのですか?」

…見抜かれてるよ。

でも、山田さんだったら何かを知ってるかも知れない。

その“みどり”って言う人を。

「あの、山田さん」

私は話を切り出した。

「みどりさんって人、ご存知ですか?」

「みどりさん、ですか?」

やっぱり、知らないのかも。

そう思った時だった。

「もしかして、奥様のことですか?」

思い出したように、山田さんが言った。

「お…奥様…?」

驚いて聞き返した。

奥様って、あいつの?

結婚してるって、ことよね?

あいつ、結婚してたんだ…。

「みどりさんとは、雄平坊ちゃまの奥様のお名前ですが」

やっぱり…。