「その顔、結構好きだぜ?」

ニヤリと笑ったかと思うと、唇をふさいできた。

「んっ…」

濃厚なキスに、頭がおかしくなりそうになる。

五十嵐は角度を変えて、何度もキスを繰り返す。

そのたびに、頭の回転が鈍ったようなおかしな錯覚にとらわれる。

やっと唇が離れた時、私はぐったりと体力を消耗していた。

五十嵐の顔は、相変わらず余裕しゃくしゃくの笑み。

「あっ…」

休むすきも与えないと言うように、五十嵐が私に触れた。


触れられて、憎いと思ったことは今日が初めてかも知れない。

唇にも、舌にも、指にも、全て反応する自分を憎いと思った。

「やっ…」

自分のものとは思えない甘い声が唇から出るたびに、嫌な感情がこみあげてくる。

声を隠したくても、五十嵐はそれを許してくれなかった。