「よっこらしょ」

おっさんみたいな言い方をすると、五十嵐は椅子に座った。

彼の横で、私はバテていた。

秘書の仕事って、すっごい大変……。

こいつとあちこち走り回らないといけないから……仕事が多いのなんの。

でも五十嵐は当たり前って感じで1日のスケジュールをこなしている。

もはや、人間じゃないかも……。

そう思いながら横に目をやると、この部屋の窓いっぱいの夜景。

宝石を小さく砕いたような色とりどりの街の灯りがキレイだ。

と言うか、金持ちのやることって……ハンパねーな。

高級ホテルのスイートルームに住んでるだけじゃなくて、こんなにも大きな自分の部屋があるなんて!

しかも夜景を一望できるほどのすっごいお部屋!

あー嫌み!

「おい」

五十嵐に名前を呼ばれた。

「何ですかっ!?」

嫌みを含んだ声で振り向いて聞く。