なんだか、さっきから心臓がうるさいんですけど───!!!


熱いほっぺを両手で押さえて1人で廊下を猛ダッシュ。


放課後の廊下は先生が見ていないから走っても怒られない。


──……「覚えといてやるよ」


さっきからずーっと頭の中で回ってるこのセリフ。


小田切くんの笑顔を思い出すと、胸がきゅーっと苦しくなる。


小田切くん、私のこと覚えてくれるんだ……!


「……ど、どうしよう」


こんなに嬉しいなんて……。


私……もしかして小田切くんのこと……。


その時、近くの教室からガシャンと何かが割れるような音が聞こえた。


思わず体がビクッと震える。


「な……なんの音!?」



私はこっそりその教室の中を覗く。


「!?」


中には数人の男子がいて、なぜか窓ガラスを金属バットで壊していた。


唖然としてしまう。


「な……何してるの、あの人たち……」


ゲラゲラ笑いながら窓ガラスを割っていく男子。


慌てて携帯を取り出して、その様子を写メに収めた。


「!?

誰かいんのか!?」


う、わ!


私は素速く隣の教室に駆け込む。


間一髪で、隣の教室のドアが開く音がした。


「誰かいたか?」


「いや、誰もいねーや」


私は大きく息を吐いた。


セーフ……。