「ははっ、へんなやつ」
「なっ……!?
へんじゃないもん!」
小田切くんは私をからかって楽しそうに笑う。
い、意外……。
小田切くんって……。
小田切くんって……。
案外、怖くないのかも……?
「ヒナと会話する女子高生なんて見たことねーよ」
「むっ!
わ……私だって木登りする不良なんて初めて見たわよ!」
……ぁ。
ピタッと笑いが止まる。
いつもの怖い顔に戻る小田切くん。
や、ヤバい……地雷踏んだかも……。
「なに?
お前、俺のこと不良って思ってるわけ……?」
「え、あの、いや……」
「俺のこと怖いとか思ってるわけ?」
「え、あの、その……ハイ」
……って、私のバカ!
なに正直に答えてんのよ──!
「ふーん……。
俺が危ない人間だって知ってて、そんな風にベラベラ話すのか?
いい度胸してんな」
小田切くんが、危ない人間……?
「お、小田切くんは危なくないもんっ!」
「……は?」
確かに、今までは怖かったけど……。
けど、小田切くんは絶対優しい人だと思う!
ヒナ助けてくれたし……。
それに話してみて分かったの!
小田切くん、あんなに柔らかい笑顔ができるんだよ……。
優しくないわけない。
「んっとに……わけわかんねー女」
小田切くんは呆れたように私を見た。
「こんなに馴れ馴れしく俺に話しかけてきた女、お前が初めてだよ」
小田切くんはまた笑ってくれた。
「たしか、同じクラスだったよな」
「え……あ、うんっ!
ハナ!
私、ハナっていうの!」
「ふ~ん……ハナ、か」
小田切くんは小さく笑った。
「覚えといてやるよ」