う、うそ……。


小田切くんが……。


あの小田切くんが……。


あの、暴力事件ばっかり起こしてみんなに怖がられてる血も涙もない生粋の不良で有名な小田切くんが……!


ヒナを、助けた……?


目を見開いたまま動けなくなった私。


木から下りてきた小田切くんは、チラッと私を見ると小さく笑った。


「……お前、受験落ちたんだ?」


「え゙!?

き、聞いてたの!?

あの私とヒナの秘密の会話を!」


私の必死な表情を見た小田切くんは、ぷっと吹き出した。


「あんなバカでけぇ声で話してたら、聞きたくなくても聞こえてくるっての」


「え!?

そんなに声おっきかった!?」


「かなりな」


小田切くんは髪をかき上げながらクスクス笑った。


わ……笑ってる……!


初めて見る小田切くんの笑顔に、まばたきするのも忘れて見入った。


笑ってる小田切くんの眉間はシワが消えていて、すごく優しい顔になる。


思った通り、小田切くんの笑顔は予想より100倍かっこ良かった。