席に着いた小田切くんを見ながら、みんながコソコソ話を始める。
「村田かわいそーだよねー。
骨折れるまでやることないじゃんねぇ……」
「でも村田が小田切に喧嘩売ったらしいよー」
そんな友達の話を聞きながら、ぼんやり小田切くんを見つめた。
小田切くんはいつも怒ってるような顔をしてる。
眉間にきつくシワを寄せて、まるで周りを威嚇してるみたい。
でも、そんな小田切くんは、鼻筋がスッと通った綺麗に整った顔の持ち主。
笑ったら絶対かっこいいよなあ……。
すると、私の視線に気付いたのか、小田切くんがこっちを向いた。
ゎゎゎわわわ……見過ぎちゃった……!
目が合ってしまって、とっさに笑みを浮かべた私。
え、えへ。
一瞬「はァ?」って顔をして、小田切くんはまた前を向いた。
ふう。
「……ちょっとハナ!」
友達に名前を呼ばれてビクッとする。
「ちょっとアンタ、今の話聞いてた!?」
「……あ、ごめんごめん、聞いてなかった」
隣で話していた友達が不機嫌そうな顔をした。
「小田切には気を付けろ、って話!
ボーっとしてると、アンタも骨折られるわよー?」
そう言ってみんなはケラケラ笑った。