私が落ち着いたのを見計らって、小田切くんが小さく呟いた。
「お前、バカじゃねーの」
「な……!
バカ!?
誰がバカなの!?」
「お前しかいねーだろ」
小田切くんはチラッと私を見て、またすぐに視線をずらした。
「あんな必死な顔で職員室飛び込んで来やがって……。
何考えてんだよ……」
「だって……。
小田切くんが退学するかもしれない、って聞いたんだもん……。
私、小田切くんが退学するの、やだったんだもん……」
……。
……あれ?
なに、この間……。
私が顔を上げると、小田切くんはいつもの怖い顔で床を睨み付けていた。