すると十雅があたしを抱きしめた

「ぇ…?」

「俺さ、綺羅が兄貴を好きだった…

 ううん…今でも好きって事は分かってる

 だけど、俺は諦めねぇ…。

 俺、お前が好きだ…

 哀しそうに笑う顔もつらそうな表情も…

 全て俺が守るから。

 全部俺が幸せな笑顔に変えるから…」



純粋に嬉しかった


雅に好かれてたって事と同じくらい



嬉しかった



「すぐに答えだせだなんて言わない


 だけど、綺羅を幸せにするのは俺だ


 綺羅に幸せを、愛を教えるのは俺だ…」


あたしは…


あたしはまた、幸せになってもいいですか?


また、誰かに恋をしてもいいですか?


また、今を生きる『人間』になってもいいですか?


『心』を『感情』を持ってもいいですか?