すべてを見透かすような十雅の瞳に驚きながらも

あたしは真剣に十雅の話に耳を向けた

でもあたしの目も心も動かなかった

いや、動かさないように必死だった

あたしは無心で十雅の話を耳の中にいれ脳で分解していた

「だけど兄貴、ある日突然元気になって

 目に色が戻った!って感じになってな

 そしたら俺に

 『十雅!! 俺、今を生きるよ。病気をいい訳に未来を諦め今を適当に生きるなんてや
め る。俺今を一生懸命に生きるよ!!』

 って泣きながら言うんだ」

あたしの心は動いた

動いてしまった