「…綺羅。聞きたいことあんだけど」

十雅はこうあたしに聞いてきた

真剣な顔で

「綺羅さ、今何を想ってた?」

今?

今はね、雅を想ってたんだ

そう答えそうになったが言葉を飲み込んだ

あたしは

「何も思ってないよ」

と強がった

「今ね、綺羅、幸せそうな顔で桜みてた

 今まで見た顔とは全く違う顔で…」

きっと雅を想ってたからだな

あたしはそう想った

「綺羅さ、なに抱えてんの?

 なんでそんな哀しそうな目してんの?」

あたしの目は今、黒のカラコンをしていて桔梗の黒蝶だってバレない