壁にもたれながらリビングに向かい、ソファーに体を預けた。

「あんたがそこまでになるなんて珍しいね。なんかあったの??」

美咲が水の入ったコップを手渡しながら聞いてきた。

「ん、ありがと。記憶なし。まったくね。」

苦笑いで返すと、真顔で隣に座ってきた。
いきなり黙って何かを考え出したようだ。
コップの水を飲みながら美咲を眺める。
こいつは時々一人の世界に入る。
今は慣れたものだが、知り合った当初は間をもたせようとがんばりすぎて気疲れしたものだった。
白いスカートにマリン風ジャケット。
服装から察するに今からデート、もしくは合コンだろうか。
普段サルエルやサロペットを好んで着る彼女には珍しい。
というか似合わない。
長身・細身で切れ長な目と健康的に焼けた小麦色の肌を持つ個性的美人な美咲には、やはり個性的な服装が似合う、と私は思っている。