店内を見渡すとカウンセラーには私たちの他には、サラリーマン風の男性が2人と30代後半くらいの女性が座っているだけだった。
だれ一人周りを気にしている風はなかった。
みんなカウンターに距離を置いて座り、それぞれの世界に入っているようだった。
時々、思い出したようにマスターに声をかける。

古めかしいジャズ音楽がぴったりのお店だ。
音量は小さいのに身体全体に染み渡るような音。
細身の長身で口髭が手伝ってか表情が読みにくいマスター。
外の喧騒と一線を画したまさに異世界だ。