「おっ!いいじゃん。さすが。」

「ほら、さっさと着替えて。着てみなきゃいいかどうかは分かんないでしょうが。」

美咲が着替えている間、鏡を借りて化粧をすることにした。
合コン自体あまり行かない上にA大だ。
まず関わり合いになりたくない。
好感を持たせないためにはどうしたらいいだろうか。
派手過ぎる化粧はさすがにひくだろう。
いっそクラブに行くくらい派手にしよう。
そう決めて、美咲のポーチから青のアイシャドウを借りて、自分のアイシャドウと併せながらメイクをすすめる。
極めつけに、つけまつげをつけた。
うん。
『気合いいれすぎ』、もしくは『これからクラブ?』の印象はもつだろう。

「うわぁ。合コンってなんだか分かってますかー。どんだけA大の男が嫌いなの。」

いつの間にか髪までセットした美咲が後ろに立っていた。

「嫌いじゃないよ。苦手なの。A大だから女が寄ってくるだろうっていうアホな頭のがり勉男がね。」

ポーチにメイク道具をしまいながら淡々と答える。
後ろから溜め息混じりの声が聞こえた。

「別にいいけど。A大ってあんたが落ちた大学でしょ。まだ根にもってんの?有里らしくないよ。」

ポーチをカバンにしまい、立ち上がって美咲に向き合う。

「根にもってるわ。これから一生、卒業して就職してもA大の学閥の壁を超えられずに生きなければならない。そう考えるだけで殺意が芽生えるほどにね。」

何か言いたそうにする美咲にトイレを借りると言って話を遮った。