憎まれ口を叩き合いながら美咲のマンションに着いた。
いつもそうだが、美咲と歩いていると喋ったり笑ったりで目的地につくころにはかなり疲れている。
ゼェゼェ言いながら部屋に入り、これまた色々散乱した部屋を物色する。
ちなみに私の部屋には服しか散乱していなかったが、ここにはアクセサリーやらCD・何かの資料のようなものまで色んな物が散乱している。
踏んだらやばそうな物もあるので、軽くまとめながらソファーまで歩いた。

「サルエルしかないじゃん。その服はどこから引っ張り出してきたのよ。」

今まとめながら物色する限り、サルエルとロングジャケットとTシャツしかない。

「クローゼットの中。ほとんど着ない服はしまいこんであるの。あんたの失礼な言葉で吹っ切れたから処分するわ。欲しいならあげるよ。ちっちゃいその体で着れるならね。」

いつの間にか両手にマグカップを持った美咲がニヤリと笑いながら現れた。
150センチしかない私はかなり身長を気にしていた。
いつも10センチ以下の靴は履かないようにしていたし、なるべく姿勢をよくするよう心掛けていた。
それに反して美咲は170センチ近くの長身だ。
彼女もかなり身長を気にしていたようだ。
しかし、二人でいるようになってからは気楽になった。
周りからすればデコボココンビだろうが、私達は二人でいることでお互いに補い合えているような気持ちになれた。
最近では笑いながら悪態をつけるようにまでなった。
大学入学からたった3ヵ月で長年の友のようにまでなってしまった。

「あんたのでかい服はいらないわ。よくサイズがあったわね。感心するわ。」

軽く笑う美咲を尻目にクローゼットを開けてみると白だったりピンクだったりの服で溢れていた。
確実に似合わないだろう。
そもそも色黒の美咲に淡い色が似合うはずがない。
もっとはっきりした原色が似合う。
とりあえず適当になんとか生かせそうな服だけを取り出し、ソファーにもたれさせた。
美咲の手からマグカップを受け取り、コーディネートを考える。
黒のハイウェストミニなんか可愛いとは思うが私の服とかぶるし。
うーんうーんと唸っていると白いワンピースに目がいった。
これだけでは甘過ぎるが、黒ベルトと合わせてカーキのジャケットを羽織ればかなり可愛い。
美咲にセットで放り投げた。