-はいカット-
お疲れさま〜
『お疲れさまです。』
今日の収録も終わり湯井さんのところに駆け寄ると、「綾乃ちゃん、今日一部の人達で飲みに行くことになったんだけど大丈夫?」
『あ、はい。大丈夫です』
「じゃ行くよ」と言う湯井さんの後ろに付いていった。
少しすると、おしゃれな居酒屋に車をとめた。
中に入り皆適当に注文し、自由に飲んだり食べたりしていた。
はぁ…楽しくないなぁ。
来ている人は監督や関係者の人達ばっかりだし、共演者の人達も話し掛けたりできる人じゃないし……。
それに私、煙草の匂い駄目なんだよね……
なんか気持ち悪くなってきたよ。
私は湯井さんにトイレに行くと言い、外に出た。
あ〜気持ちいい!
「なに風にひたってんの?」
え…?
『わっRYOさん!どうしたんですか?』
「RYOさんじゃなくてRYOでいいって。しっかし飲み会なんて楽しくないよな〜」
『…え?』
ここはそうですね。って正直にいっていいのかな。
「彼氏いんの?」
『え、なんでですか?』
「だって俺と綾乃ってキスシーンあるじゃん。」
『けど、振りだし大丈夫ですよ。』
「やっぱりいるんだ。ひっかかったぁ!!」
私は慌ててRYOさんの方を振り向くと、少年みたいに楽しそうな顔をしてた。
どきっ
なんか祐介に似てるかも…。
『騙さないでくださいよ〜』私は恥ずかしくなって俯いた。
「くくく、けど振りでも怒ったじゃない?彼氏さん。」
『え……大丈夫ですよ。』
なんて笑顔で言った私だけど、内心はヒヤヒヤ(゜д゜;)
やっぱり祐介怒るかな〜
「ね〜キスシーンの練習でもする?」
『…っ、』
返事をする前にもうRYOの顔がすぐそこにあって、少し動いただけでもキスしてしまいそうな距離だった。
「ぷっ、そんなんで本番大丈夫?」
余裕そうに笑うRYOの横で、私は心臓ばくばくで……
「俺のほうが、本番やばいかもな。」と言うとRYOは居酒屋に戻っていった。