「どうして、ここに…?」


俺はその質問には答えず、顔を上げて病院の方を見た。



「おばさん。ここにいるんだろ?」



彼女…実桜は少し泣きそうな顔をして、


「うん…」


とうなづいた。



「見舞いしたいって言ったらよ、面会時間過ぎてる、って怒られたよ。守衛のおっさんに」



少し明るく言うと、


実桜はくすくすと笑ってくれた。


「元の恰好が怪しすぎるんだよ」



「え?そんなに変か?そういえば、まだ親父に家入れてもらえねぇんだよな。…わからないかなぁ、このセンス」


俺は破れたジーンズをはたいてふざけてみせた。