「さっき、チエに連絡したら、お前今日来れないって?」
「ん……」
「せっかくの前夜祭なのに、なんだよ。ノリ悪すぎだって」
「来週の式には出席するから…」
「ま、いいか。それで俺様が会いに来てやったんだし」
「俺様、ってなによ、それ」
コホンッ。
誰かはわからないけど、きっと静かにして、という合図。
「やっぱり俺ここ苦手」
耳元でこそっと言うと実桜はくすくすと笑って言った。
「だと、思った」
「じゃ、俺行くわ」
「うん。また連絡する……みんなによろしく。チエにはごめんね、って言っておいて」
「あぁ」
俺は出口に向かって歩きながら少し振り返ってみると実桜はまだ笑って手を振ってた。