ヒロが病室に入ってくると、川瀬は少しもの言いたげだったけど、



点滴の量を確認して、出て行った。




「びっくりしたよ、お前。どうしたんだよ」



「あぁ、ごめん」



「ミオと……また喧嘩でもしたのか?ってもお前ら喧嘩したことなんて高校の時以来だろ?」


わざと明るく言ってるヒロは勘がいいやつだから何かに気づいてるのかもしれない。



「ミオに……別れよう、って言われた…」



言葉に出すと、あれが夢じゃないことがまた思い知らされるような気がして、最後は少し声が出しづらかった。



「別れよう…、ってまさか…」


ヒロはありえない、というような風に口を手で覆った。


「俺も、わけがわからないんだ…」



俺が理由を知りたい。


本当の理由を。


あんなにかたくなに別れを切り出す彼女の本当の理由を。