びっくりして俺は川瀬の顔を見つめた。


「川瀬?」


川瀬は少し泣きそうな顔をしてた。



それも一瞬のことで、


彼女は


「脈は大丈夫…」


と言って、すっと握った手を離した。



脈って…


そんなところで計らないだろ?




「祐?気づいたか?」



その時、病室のドアからぴょこっと顔を出したのはヒロだった。



馬鹿だな、俺。



一瞬ミオが入ってくるんじゃないかって、そんなありえないことを想像してしまったんだ。



そういえば、こういうこと、あったよな。



高校の時。



あの時、ヒロがミオに俺が大ケガしたって嘘をついて、



そして、彼女は走ってきてくれたんだ。



あの時も俺たちは離れてた。