あの時何を話してたんだ?


母さんが電話に出てくる時間ももどかしくて、俺は同時にミオを追いかけようと玄関のドアを開いて、廊下を見た。



「母さん?!」


ようやくつながった時、



下を見るとエントランスから出ていくミオの姿が見えた。



「ミオ!」



思わず叫ぶと、彼女はこっちをちらっと見てすぐに走り出した。



「祐?祐?」


電話から母さんの声が聞こえるけど、俺は廊下を駆けだし始めていた。



「ごめん、母さん後で…」


と言いかけた時に、母さんは言ったんだ。


「彼女に断られたの?」

「え?」

「なんで知ってるの?…母さん、なんか言ったの?ミオに」



エレベーターを待つのももったいなくて、階段を駆け降りる。



エントランスを出ると、もう彼女の姿はなかった。



何が、あったの?ミオ。



力なく下げた俺の手の中の携帯はずっとひかり続けていた。