「さて…と。少し寒いから、帰ろうか?」



言い出せない私は、やっぱり臆病者だ。



少し震えてるのは、寒さだけのせいじゃないのに。



祐は体を離すと私の肩を抱いて歩き出そうとした。



「…ミオ?」



固まったまま動かない私を怪訝そうな顔で見つめるその顔は。



もう暗闇が落ちてきてる最後の夕闇にほんの少し照らされて、



彼の横顔を美しく見せていた。



祐…好き…



「…かれよう…」


かすれた声を聞き取ろうと祐が耳を傾ける。



祐…


祐、大好きだよ!



「別れよう…」



「は?」



……大好き。



これが夢ならよかったのに。