「さて…と。少し寒いから、帰ろうか?」
言い出せない私は、やっぱり臆病者だ。
少し震えてるのは、寒さだけのせいじゃないのに。
祐は体を離すと私の肩を抱いて歩き出そうとした。
「…ミオ?」
固まったまま動かない私を怪訝そうな顔で見つめるその顔は。
もう暗闇が落ちてきてる最後の夕闇にほんの少し照らされて、
彼の横顔を美しく見せていた。
祐…好き…
「…かれよう…」
かすれた声を聞き取ろうと祐が耳を傾ける。
祐…
祐、大好きだよ!
「別れよう…」
「は?」
……大好き。
これが夢ならよかったのに。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…