懐かしい高校のグラウンドに着いたころには、


もう空はオレンジ色に染まっていた。


さっきの雨がグラウンドに水たまりをつくってる。



雨の通り過ぎた匂いがまだ残ってる気がして、私は大きく息を吸った。



「だいぶ、散ったね」



そう言って祐が見上げる方をには、、


桜の木の枝雨にぬれた花びらがちょこちょこと残ってるだけだった。



満開の時に見たかった。


そうしたら、すこし勇気をもらえる気がしてたんだ。


…これも全部運命、なのかな。



けれど……わかってるのに、桜の木を眺め続ける祐の横顔にどうしても離れるなんて言えなくて、



私は唇をかんで下を向いた。