「ん?」


少し笑って俺を見る雅を見て、俺は・・・俺は・・・・・・・



「雅・・・」



「何?」



「佑、って呼べよ」



「え?」



雅は固まって俺を眺めた。



「だって・・・ずっとその呼び方だけはダメだって・・・」



うん。



佑、って呼ぶのは・・・・彼女を思い出してしまうから。



付き合ってすぐの時に断ってたんだ。



「どうしたの?急に・・・」



きっと喜ぶと思った雅の顔は戸惑いの表情でわずかにくもった。



「だって俺ら結婚するだろ?さん付けのほうが不自然だし」


「うん・・・」


雅はその後黙ってただ、俺の腕を支えながら歩いてく。



これでいいんだ。



これで・・・いいんだ。