「元?」 いつもの俺の指定席に、座った長身の男。 「よ!」 数日前に会った実桜との結婚が決まった、とかそんな話だと思った。 忘れかけていた、ううん。忘れたはずの痛みが、あの高校のときに彼女に再会してからずっとうずき続けてる。 その痛みが少し大きくなったような気がした。 けれど、そんなものにいちいち反応してるわけいかないんだよ。 俺は気持ちを抑えながら元に近寄った。