そんな私の顔をお母さんは悲しそうにじっと見つめて、



「ここまでお話する気はなかったんだけど…実は二階堂、って言ってもそのネームバリューが通用したのは一昔前。今はそれだけではやっていけないほど、苦しい状態が正直続いてるの。


祐が跡を継ぐ頃は、どうなってることか…。だからこの決まってる結婚をさせてあげたいの。祐の夢だった医者になるってこと、かなえさせてあげたい…!」




…政略結婚。


そんなのドラマとかの中だけの話だと、思ってた。



けど…私は…


「私は、祐さんと別れるつもりはありません」



祐に言われてるわけじゃない。


それだけが今の私の頼り。



「あなた…もし祐が二階堂の家を無視して医者になろうとして、なれると思ってらっしゃるの?そんな甘いものじゃないのよ?

あと…今あなたのお母様体の具合が少し悪いんですって?」


ざーっと頭から一瞬で血が下りるのがわかった。


「なんで、知ってるんですか?」


祐から?


「少し調べさせてもらったの。当たり前でしょ?息子が付き合ってる女の子がどういう子か知りたいのは当然です」


なんか…怖い。


しゃべり方も、少し…変わってきてる。