そういって布団を私に布団を深くかぶせた元は、


それ以上何も言わなかった。


「元?もう寝ちゃったの?」


元の寝息が聞こえた気がして、


私はベッドから壁のコルクボードを見つめた。


今日は本当に月の光がきれい。


コルクボードにはもう桜の写真はないけど、


写真を貼ってあった場所がその光でうっすらとわかる。



ちくちくと心の奥が痛むけど。


明日・・・コルクボードも全部捨てよう。


私は今日久しぶりに会った彼の面影を消すように、ぎゅっと目を閉じた。


もう、引き返せない。