なかなか涙の止まらないヒロのお母さんに案内されたのはある病室の前。



思わず、隣の元の袖をぎゅっとつかんだ。



元の手のひらが、私の手のひらを軽く包んだと思ったら、


その手は私の背中を軽くたたいた。



「実桜。行って来い。俺はここで待ってるから」



元?



隣を見上げると、元はいつものようにニカッと笑って、



「ヒロの母ちゃん・・・あのままにしとけないだろ?」


って未だハンカチで流れる涙を押さえ続けてるヒロのお母さんを目で指した。



「じゃぁ、私もう少し後にするから」



そう言って、「おばさま・・・」と声をかけかけた私の手を再び元は引っ張って言ったんだ。



「俺は待ってる・・・だからお前だけ行って来い」


「元・・・」


うん・・・。



「・・・行ってくるね」



胸が詰まりそうになるのを抑えて、私は病室のドアノブに手をかけた。