「これ、たんぽぽ茶って言うんだ。妊婦さんが飲んでもノンカフェインだから安全なんだよ。たんぽぽの季節も近いしな」



「元・・・この店にこんなお茶まで揃ってんのか?」



少し慌てて出たジュンのこの質問に、私達は同時に首を振った。



何でもあるの?ここ。



「普段はねぇよ。さっき・・・来る前に聞いたからさ、急いでおふくろに電話して、妊婦でも安心して飲める飲み物ってなんだ?って聞いたら、これだったんだ」



少し照れて鼻をいつものように掻くようにこすった元は、すぐ調子を戻して、



「ジュンやヒロ達には、俺おすすめのカクテル作ってくるから、待ってて」



マスターらしき人に呼ばれた元はそういい残して、また仕事に戻った。



チエは、元の持ってきてくれたコップを両手で持ってそっと口をつけた。



「・・・・・・おいし」



そういう彼女の目は照明のせいか、少し潤んでるようにも見えたんだ。



元と一番一緒にいたのはチエだもんね。



「チエの赤ちゃん、生まれてくるの楽しみにしてるからね」



「ん。ありがと」



やっぱり今日のチエは・・・すごく綺麗だってまた思った。