長い腕がさっとテーブルの上を拭って、私の頭をポンと軽く叩いた。



「ドジ」



それはいつものことなのに、


昔からいつもこんなやり取りは何回もあったはずなのに、



なんでだろう。



なぜか元の方を見れないんだ。



カウンターに戻ってゆく元の気配を感じて、私はふーっと小さく息をついた。



ドキドキしてる?私…。



そんな自分が、なんだか嬉しくて。



そしてちょっぴりほっとしたんだ。



これで、本当に良かったんだって。