くそっ。



反則なんだよ。



なんで、あんなに可愛い顔をして俺を見上げるんだよ。



やばいって。



本当に・・・やばい。



俺は早歩きをしていた足を少し緩めた。



あいつ・・・・・



全然わかってない。



手をつなぐ時も。


抱きしめられる時も。


さっき・・・キスされようとした時も。



実桜・・・お前の体には変な力が入ってるってこと、お前は全然気づいてない。



結構・・・俺も傷ついてはいるんだぞ。



けど・・・・・・ほれた弱み満開だな、俺。


本当にバカだと思う。



さっきチエに電話した時も、チエにさえため息つかれたし。


だって、どうしていいのか、わかんねぇんだよ。


あいつが好きだから。


大切だから。


あいつの気持ちを、知ってるから。


このまま、実桜の部屋に行くわけには絶対に行かないんだ。


結構、義理がたいでしょ?俺。




ただの、ヘタレじゃん。


なんて、これはさっきのチエの台詞なんだけどな。