アパートの前で私の頭に手を置いた元は、



「じゃぁ・・・おやすみ」



と言って振り向いて歩き出そうとしていた。



その時、



私は思わず言っちゃったんだ。



「元・・・上がってく?」



言いながら、自分でも呆然としてる。


な、


何を言ってるの?私。



元が少し驚いた顔をして振り返ったのを見て余計にその恥ずかしさが増してくる。



この前はそんな意識なんてしなかったのに。



元の気持ちを知ってから。



「元・・・あの・・・これはね・・・」



しどろもどろになる私の言葉をとめるように、元はもう一度私の頭に手を置いて、ぽんぽんと軽く叩いてから、私の目を見て微笑んだ。



「すげーうれしいけど、今のお前すげー可愛いし、今日は違う意味で無理。。。」


そしてぎゅーっと私を強く抱きしめてから、ぱっと離して、


「ごめん。今日は帰るわ」


と言って、後ろ手に手を振ってから歩いていった。