俺は、ヒロの方を見ない。


ヒロも俺を見ない。


2人でただ、校門のほうを見ながら、しばらく沈黙が流れた。



「俺さ・・・・・・雅との結婚をやめようと思ってる」



話し始めた俺の心は思ったよりも冷静だった。


ヒロは、ただ一言。



「そうか」


とだけ言って、また沈黙が流れた。



俺は大きく白い息を吐き出して、また彼女を待つ。



早く会いたい、という急かす気持ちはあるけど、



それ以上に、自分の心の中が透明に澄んでいくように感じた。



その時・・・


ブーブーブー・・・



ヒロの携帯が着信を知らせた。