祐の家はヒロの家の近く。
ヒロの家には高校時代から何度もお邪魔してるけど、
祐の家はこれが初めて。
ヒロは一度
「祐ん家こえーぞー」
なんて茶化すように言ったこともあるけど、その時も祐は何にも言わなかった。
というより、なんとなく、家の話題を避けてる感じもして、私はそれ以上何も聞かなかったんだ。
代々続く二階堂の名前。
さっき、雅さんも言ってたけど、多分、ううんきっと私には想像もできないくらいのプレッシャーとかそういうのがあるんだろうな…
もしかしたら、それもあって、大学に進学と同時に祐は一人暮らしを始めたのかもしれないね。
改めて横を歩く祐を見上げると、
彼はいつものように「ん?」って優しく笑ってくれる。
それはいつもの祐で。
私はなんとなく感じる不安感を、ごまかすように手をつないだ。
大丈夫、大丈夫。