あの一日がゆっくりと頭の中によみがえってくる。



実家の座敷。



ししおどしの音。



雨が、降ってた。



緊張してるミオの手。



ミオの顔。



おれが戻ってきた時に、一瞬見せた・・・こわばった表情。



・・・あれだったんだ。



俺はプロポーズの言葉を必死で考えてて、



ミオの変化なんて気づいてやれなかった。



そういえば、あの時、何度も俺に聞いたよね。



「お医者さんになりたいんだよね?」



って。




俺は・・・俺は・・・・・・何も考えずただ、自分の夢をバカみたいに語ってた。



その時、ミオがどんな気持ちでいたのかなんて、わかりもしないで。