「えぇ・・・でも、なんだか・・・」
母さんの声が小さくくぐもる。
「だから!お母様が気になさることないんですって。あるべき場所に帰った、ってことでしょ?でも・・・彼氏の夢をかなえたいから別れるって、今時ちょっと古いって言うか・・・」
雅の、くすくすという笑い声が嫌に耳に響いた。
俺の握られた手のひらが、変な汗でじっとりと感じられる。
足は棒のほうに全く動かない。
隠された真実。
それは・・・・・・あの日のミオの真実。
「手切れ金、もらっておけばいいのに、返すなんて不器用な子・・・」
瞬間、俺はカーテンを乱暴に開けた。
母さんはざっと青い顔をして俺を見つめた。
「佑・・・」
「母さん・・・雅・・・どういうことだよ・・・・・・?」