「あ、たぶんそろそろ終わりだと思う。もうすぐ来るよ、祐くん」
そういえば…私は自己紹介もしていないことを思い出して、
立ち上がりかけた彼女を呼び止めた。
「あの、私の名前は…」
「知ってるよ。ミオちゃんでしょ?それと…」
雅さんは立ち上がって、私を見下ろした。
逆光で、顔がよく見えない…。
「今日彼の家に行くんでしょ?彼のお母様アクセサリーが苦手だからそのピアス外したほうがいいかもね」
え?
「ミオ!」
大好きな声に振り向くと、祐が走ってくるのが見えた。
けれど、私はなぜか声が出ない。
はっと顔を戻すと、雅さんはにこっと笑って、
「じゃぁね!ミオちゃん」
と言って歩いて行ってしまった。
今、一瞬真顔だった…雅さん。