「そう、ですか…」
「私、ずっとあなたとお友達になりたいな、って思ってたの」
「へ?」
唐突だな、この人。
「だって、祐くんいつもミオちゃんのことばっかりだもん」
なんか恥ずかしい。
けど、うれしい。
「それでね、よく教授に言われてるのよ。今は恋愛とかそういうことしてる時間はないんだぞ、って」
「え?」
少し声が、かすれた。
「やだ、気にしないでね。その先生が厳しすぎるだけ。みんな彼氏とか彼女とかくらいいるのが当たり前なのにね」
にこっと雅さんが笑ったけど、私はなんとなく笑うことができなかった。
雅さんは、そんな私に気づかないのか、しゃべり続ける。
「特に…祐くんは大変だと思う。お家の名前も大きいし…今病院って大変らしいのよね。経営とかいろいろ…」
雅さんは意味深な事を言いながらちらっと私の眼を見た。
感じる、違和感。
「ごめんごめん!変なこと言っちゃった。祐くんには内緒ね」
一瞬感じた変な感じは気のせいなのかもしれない。
また彼女はふふっと笑って思い出したように時計を見た。