「ミオ…さん?」



ふいにかけられた言葉に、はっと我にかえって見渡すと、



そっとベンチに腰掛けるのは…誰だっけ?



長い髪の毛を無造作に、まとめ上げた女の人。



白い服を着てるのはきっと医学部の人だ…。


どっかで見たことがある気がするんだけど……?



「あぁ、私祐くんと同じゼミの川瀬雅って言います」



にこっと笑う彼女はすごく素敵で、ついみとれてしまうほど。



「は、はい」


「ふふ。私はあなたのこと、知ってるよ?祐くんといつも一緒にいるでしょ?」


なんか…恥ずかしい。


それと、なんとなく感じる違和感。


なんだろ?


「いきなりでごめんね。祐くん、少し遅れるからって伝言頼まれたの」


きっと私は少し不審げな顔をしちゃったんだと思う。


彼女は少し笑いながら、言葉をつづけた。


「ほら、私たち携帯使えないところで実習することがほとんどだから…」


優しそうな笑顔なんだけど、「私たち」っていう言葉を少し協調して聞いてしまったのは、私のひがみ心だけ?