ん?ってことは、


『付き合え』


って聞こえたのも、

私の耳垢のせいじゃなくて。


私は、小指についた垢をじっと眺めた。

確かに、たいして溜まってないみたいだけど。


「あの~、

ちょっとお伺いしますが・・」


時代劇に出てくる悪の手先が、

『お大臣様~』

って、もみ手で猫なで声を出すように、

上目遣いで陸渡を眺めた。


「私のこと、好きって言ったのは

分かったけど・・・

その場合は、

付き合ってください、

じゃ、ないんでしょーか」