担任は口をあんぐり開けた。
あんなに進路に困り果てていた私が
決めかねていた私が
いきなり看護師になろうといいだしたのだから無理もない。
まして,経済学部に行こうとしていたやつの口から出るなんて,全く予想していなかっただろう。
私も,まさか自分がそんな道を志したいと思うなんて思ってもみなかった。
「い…いきなりだなあ…柊…」
ハハハ,と担任は苦笑いをした。
「私…決めたからには,本気なんです…」
真剣に伝えた。
それが伝わったのか,担任は真面目な顔で
「そうか。分かった。じゃあ,俺は出来る限りお前をサポートする。…だから,頑張れよ。」
そういって,微笑を浮かべた。
先生に会いたい。
そんな純粋な気持ちから思いついた進路。
不純な動機だ,と言われるかもしれない。
でも…私は本気。
先生に会いたい気持ちは強いし,
それに…それだけじゃない。
自分が入院してた時のあの暖かい看護師さん…
あんな人達みたいに人の役に立ってみたい,と思ったのだ。
頑張ろう…!
そう思って,部屋を出て伸びをした。