――ライブ観てってよ、という海斗の誘いを断って、俺はいつの間にかマンションへと帰っていた。

珪甫から聞かされた事実に、正直ショックを受けている自分がいた。

「くそ……っ」

玄関で靴を脱いだついでにそれをドアに投げつけた。
苛立ちとやり切れなさと、後悔と……様々な感情が胸の中を暴れまわっていた。

その時。

~~~♪♪♪

ジーンズのポケットで携帯電話が震えた。

こんな時に、誰だよ?

着信の表示をみればそこには今一番話したくない奴の名前。



《ライ》



「……もしもし」

『タキ?どうだった?今日会って来たんだろ、アイツに』

そう、ライやショウは俺が海斗を呼び出したことを知ってた。
代表して俺が彩都のことを訊きにいっただけ。

俺はライに聞かれないよう、小さく息を吐いて天井を見上げる。

……とりあえず、まだ波は立てたくない。