口を開いた俺の声に最初に気付いたのは歌夜だった。

「あ~~っ!タタタタタタキ!!」

他の二人も視線をこっちに向ける。

「……それやめろ」

俺を指差して叫んだ歌夜に、俺は片手でこめかみを押さえながら呟いた。

あ~なんでついてきちゃったんだ俺?

自分の流されやすさに溜め息を一つ吐いて、彼らの楽屋を見回してからもう一度海斗に向き直った。

「で、ちゃんと話が聞きたいんだけど?」

もちろん彩都のこと。
それを目的に来たんだ、このまま帰ったら馬鹿だからな。

真剣な俺の視線に、海斗は相変わらずポワッとした笑顔のまま。しかしすぐに口を開いた。

「それは…ケイに訊いた方が手っ取り早いよ。ね、ケイ」

そう言った海斗の視線は楽屋の片隅で無表情でスティックを弄びつつ、くわえ煙草をしている珪甫へ向いた。
つられてそっちを向いた俺に、当の本人は目線だけでこっちを見た。