「だぁっ!離せこのやろ!」

俺は反射的に海斗の腕を投げるように振り切った。

「ちょっ、えぇ~っ?!タキが握ってたんじゃん!」

「うるせぇっ!オマエといるとペースが乱れるわ!」

「ひでぇっ!せっかくいいこと教えてあげようと思ってたのに~!やめよっかな~」

「あぁ?なんだよそれ?」

ていうか俺、こんな会話するために海斗を呼び出したんじゃない。
彩都のこと、訊こうと思ってたんだった。

はた、と思い出して、俺は立ち止まった。

そんな俺の心を見抜いているかのように、海斗が口を開いた。

「彩都のこと、訊きに来たんでしょ?」

「な……」

あっさりと“彩都”という名前を出されて、俺は言葉が出なかった。

「教えて欲しい~?」

……ムカつく。