「だったらなおさらリハ大事だろ?!ちゃんと音チェックとかしとかないと客にいい音聞かせられねぇぞ!」
俺が半ばキレぎみで言ったのに対して、海斗がまん丸の目をしてこっちを見た。
「わ……タキ、そういう人だったんだ?意外!」
「意外って…俺を何だと思ってたわけ?」
「ん~とね、クールで執着心がなくて、ギターだけ愛してる人?」
………なんだそれ?
人だらけでウザい雑踏の中、俺は大通りから一本裏に入って緩やかな坂を上りながらライブハウスの方向へ足を向けた。
「それ、俺よりもショウのが似合う言葉だ」
「そうかな~?ショウって外見はかなりクールだけど内側熱い人じゃない?音楽に対しても妥協したくない。本当のところは、ね」
「………」