「聴く価値はあり、かな」

薄い唇を笑みの形に変えて、ショウは涼しい目を細めた。

どうやらコイツも興味はあるみたいだ。
まああのライブ観たらなぁ…聴きたくなる。

「かっこいい……魔王がいる…」

……は?

今なんか聞こえたけど。

振り返った視線の先。
両手を胸の前で組んで、少女漫画に出てくるみたいなデレッとした顔の……歌夜がいた。

「……恐っ!」

思わず口に出ちまったよ…。

「歌夜!また涎出そうな顔になってるよ!」

「え!?あ、あぁごめんなさい!あまりにショウがかっこよすぎて!」

「その癖直しなさいってば!」

「いいじゃん!見るだけなら害はないでしょ!」

海斗のツッコミに歌夜が返す、というコントが始まったみたいだ。

「なんで此処で始めるかな……」

俺は呆れ顔で彼らを見ることしか出来なかった。