ていうか、俺なんかよりライがヤバかった。


フェイドアウトするようにギターの音が小さくなった曲のラスト、オーディエンスに背を向けたライの今にも泣きだしそうな顔が一瞬見えた。
と思った時、ステージの照明がふっと落ちた。


助かったぁ…、なんて思った。


観客の叫ぶ声と拍手が止まない中、俺たちはステージの下手へ下がった。





そこには両手を合わせ、真っ赤な目をしてる櫻井がいた。

「すっっっごい良かったです!僕、感動しましたよぉ~っ!!」

なんだか今にも抱きついてきそうな雰囲気。

「な~に泣いてんだよオマエ!泣くほどのことじゃないだろ~」

おどけた調子で、俺は櫻井の頭をポンと叩いてやる。

自分の目は見られないようにして。

……っていうかみんなして泣いてんじゃん……気持ち悪っ!