その後も途切れることなくライブは続いた。
激しい曲でたたみかけるように攻めた後、一旦MCの間を取ってあった。
でも……。
「お前ら今日は余計なお喋りなしだ!このまま突っ走れよっ!いいか?!」
前髪からしたたる汗も気にせず、ライは叫んだ。
オーディエンスからはもちろん割れんばかりの肯定の歓声。
その瞬間、ライはアイドル顔負けの柔らかい笑顔を見せた。
「よぉし!今日の俺は機嫌がいい。ついてこいよっ!!」
キャーーーッッ!!
って歓声に耳を塞ぎたくなるも、すでに俺の指は弦の上。
ショウのベースと重なっていた。
ショウのベースラインは普通のベースの音じゃないと思う。
ギターもできるアイツならではなのか、ただ単に目立ちたいだけなのか、ベースのくせにメインのメロディーを弾きやがる。
たまに本番中なのに俺の音を攫っていくんだ。