ライは中央のマイクスタンドに持っていたマイクをセットし、その口からあの声を出す。


オーディエンスを酔わせる、艶のある声。
ハスキーで、どこか色気を滲ませる甘い声に捕まるのは女だけじゃない。


なんせメンバーである俺だって、ライの歌声には酔える。


時に囁くようにしっとりと、あるいは脳の奥まで痺れる程に攻撃的に。


……普段あんなにガキっぽいのに、詐欺だな。


斜め後ろからライの姿を見ながら、いつも感心する。


しかし今日のライはいつにも増してノッていた。


たぶん、アイツらのせい。


PRISONERの。