で、数分後。俺たちは唖然とした顔で東條を見てた。
「今なんつった?!」
思わず問い掛けた俺に、東條は苦笑いをしながら眼鏡を押し上げる。
「いや~、契約のことなんて全然考えてなかったよ~、困ったなぁ……ははっ、どうする?」
いや!いやいやいや!どうするじゃないし!
俺は隣に座ってるヤツの足を思いっきり蹴り飛ばしてやった。
「いっ………たぁ~~っ!!なんっ?!」
「どうする?ってなんだよそれ?!」
「だぁって本当にそんなこと気にしてなかったんだも~ん」
可愛く言ったって無駄だっての!
俺が深い深~い溜め息を吐くと、向かい側でじっと考えてたショウが顔を上げる。
その顔はひどく真剣だ。
「……いっちょ殴り込みしてみるか?」
「は?」
「え?」
「あ?」
俺たちは同時に口を開けて、どこまでも冷静な表情のバンドリーダーを見つめた。
「ど、どこに?!」
ポンと投げかけられた疑問の声。
振り返れば俺たちの様子を強張った顔で見てる櫻井がいた。
……やっべえ、コイツがいるの忘れてた!